Z 学社連携・融合事業
  
 前原市は、博多から電車で40分の場所にあります。長糸校区の人口は、約2,400人。世帯数が約700です。6つの行政区があり、 農業が主産業です。現在、過疎化(少子・高齢化)の進行が最大の課題になっています。
 長糸公民館は、平成7年に改築され、長糸小学校に隣接しています。前原市の公民館は、 校区公民館方式を採用しており、8つの小学校の隣に8つの公民館がたててあります。 各種学級7講座、自主サークル数15です。
 過去30年間戸数こそ増えていますが、人口は減りつつあり、少子高齢化率25%を超え、過疎化が進んでいます。 公民館の事業も、地域住民の交流や活性化を図るための事業に重点を置いて取り組んでいます。
 長糸小学校は公民館に隣接しており、全校児童総数126名です。過疎化の進む中ですが、長糸の子ども達は、 教師・保護者・地域の連携の中ですくすくと育っています。小学校と地域の方の連携の一例として、農家の方の指導で田植えや稲刈りなどの農業体験があります。 また、公民館の花つくりサークルと一緒に、一人暮らしの高齢者へプレゼントする花を作ったり、和太鼓に挑戦したりします。このようにして、小学校と公民館の連携から、 学校と地域が一体となり、子どもを守り育てます。長糸校区の特色を生かせるように、地域のみなさんと連携を取り、学んでいます。
このようにして、小学校と公民館の連携から、学校と地域が一体となり、子どもを守り育てます。長糸校区は、 地域への郷土愛、教育への期待が非常に強い地域です。地域の良さを課題に、地域に学び、地域に生きることを学習しています。 そのほか、PTAによる学校清掃作業や、行政区による通学路の草刈など、地域の方も学校に 対して協力的です。小学校では、地域の方からもらったヤギやにわとり、ウサギや亀も飼われています。このような中で、 公民館と小学校が協力して、合同の事業に取り組んでいます。公民館と小学校がそれぞれの事業を合同で開催することで、 地域の子どもから大人まで様々な人たちが交流することができます。公民館は、地域と小学校をつなぐ役割をします。 長糸では、学社融合をテーマに小学校と地域との交流・共同作業をしていますが、特に運動会・文化祭・人権学習が大きな行事になります。
 まず、合同運動会について説明します。6年前までは、地域と小学校の運動会は別々に行われていましたが、 どちらも人数が減ったため、5年前から地域と小学校が合同で運動会を開催することになりました。 運動会の会議は3回開きます。構成メンバーは、学校と公民館、校区運営委員会の代表者などです。 第1回目の会議で種目や時間の大枠を確認し、これをもとに体育委員が行政区の常会で議題にあげ、 種目毎の選手選抜にかかります。種目毎の審判・補助・道具等の搬出入の担当を決め、当日にのぞみます。 合同運動会のプログラムでは、25の競技がある中で、地域の競技数と小学生の競技数の割合は3分の1ずつです。 残りの3分の1が小学校と地域との合同競技です。親子競技や老人クラブと1,2年生の玉入れ、スポーツ少年団の行進、 いとしか音頭などがあります。
 児童・保護者・校区の皆さんが来られ、合同運動会にしたことによって、参加者が約300名くらいの参加に増えました。 通常は、左図のような担当割りも学校の先生だけでなく、すべての種目を地域の方々と先生で分担します。運動会で使う道具は、 基本的に学校の大道具や小道具を使用します。毎年、競技種目を決める時は、綱引きを加えたり、障害物競走の障害物を増やしたり、 場所を変えたりと、かなり柔軟に対応しています。行政区対抗リレーでは熱が入りすぎた為か、 2年連続で怪我人が出てしまいました。来年度からは、怪我人に負担をかけないように保険を掛けねばと考えています。
 次に、合同文化祭について説明します。茶道サークルの発表では、小学生がおてまえを披露しました。文化祭では、午前中に小学校で収穫祭をし、 午後から小学校の体育館でステージ発表をします。収穫祭では、小学生が農業実体験で育てたお米や野菜で温かい野菜スープを作り、地域 の方々と一緒に餅つきをします。できあがった餅と焼き芋と野菜スープを、文化祭に来られた地域の方にごちそうします。 小学校で収穫祭が行われているころ、公民館は展示コーナーやバザーでにぎわいます。バザーの売上金の一部は、 社会福祉協議会やパキスタンの地震被災地へ寄付をされます。午後のステージ発表では、12のステージ題目中、 小学校と地域の公民館サークルが半々で、保育所の園児も参加しました。小学生は長糸の特色を調べた結果を発表しました。 公民館も取材を受け、紹介してもらいました。地域の発表は、大正琴や詩吟のサークルなど、色んな団体が特技を披露しました。
 次に、人権学習についてですが、長糸には「支部同協」という、同和教育を推進する団体があります。子どもから大人まで、 沢山の人に人権について学習する機会を設けるために、「支部同協」と小学校が連携して行事を開催します。 支部同協との合同行事で、毎年「人権コンサート」をしています。当日は、1時間目を授業参観にして、 2・3時間目に人権コンサートに参加します。授業参観の直後にコンサートがある為、保護者も参加しやすいようです。 今年は、障害をもったタケシ君とそのご両親で組んだ「健ちゃんバンド」を呼び、演奏だけでなく、 障害を持つ親としての本音も聞き、子ども達も身近なものとしてとらえることができました。
 その他に、長糸には「わかたけ集会」という合同事業もあります。例年、講演会方式でしたが、子どもたちが興味をもちやすいように、 今年度は「科学の実験」をしました。液体窒素を使っての実験に、子どもだけでなく大人も大喜びでした。 参加者が楽しめるような企画にしたことで、大成功でした。
 合同事業での公民館の役割は、事業内容の検討、企画、各団体との調整、会議の開催になります。運動会の場合は体育員との調整、文化祭の時はサークルとの調整の他に、 会場設営などの準備など、公民館側の目に見えない負担もたくさんあります。
 長糸校区の課題は、少子化がすすみ6年後には小学校の児童数が100名をきることです。 合同行事への参加者は増えましたが、公民館と小学校の関係者以外の参加者への呼びかけも重要です。
 館長がよく言う「公民館は校区の茶の間たれ!」という言葉どおり、学習の場としての公民館活動の充実も必要ですが、 地域の方が気軽に立ち寄れる公民館である必要性を感じています。 これからも、学校と地域を結ぶためにも地域のニーズ、学校のニーズに常に敏感でありたいと考えています。
問い合わせ先: 前原市長糸公民館 前原市川村876-1 TEL 092-323-2032

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