T 高齢者教育
 
○ 事業の目的

 「尋常小学校」は、年長者が積極的に学習に取り組み、継続して参加することで仲間作りをし、 様々な学習活動に参加する意欲をもつことで、健康と生きがいづくりに結びつけること。「ひなたぼっこ」では、 尋常小学校の卒業生を中心に、学習意欲と仲間同士のつながりの輪を広げて、 年長者の生きがいづくりと生涯学習への関心を高めることを目的とした。

 
○ 実施に至る経緯
 平成15年9月〜12月星ヶ丘尋常小学校を開講。対象者は65才以上。 実施するにあたり、小学校に教室が使えるかなどの相談に行ったところ、小学校としても『総合学習の時間』 に年長者とのふれあいなど積極的に関わりを持ちたいとの意向があり、小学校での開校について快諾を得た。運営委員(10名)を募り、 学習プログラムの編成や講師の選定、教科書の手配等の開講準備に入った。
 平成16年度「年長者の寺子屋 ひなたぼっこ」は「星ヶ丘尋常小学校」の継続事業として実施した。 小学校の教室や施設を利用し児童との交流を軸に10回の積極的な学習活動を行った。
 
○ プログラム作成の視点
  「尋常小学校」の学習のプログラム編成にあたっては、 モデルプログラムをベースに楽しめる学習内容を検討し、地元の講師に依頼できる講座を軸に計画した。
 継続事業としての「ひなたぼっこ」では、年長者がかかえた問題点や趣味の領域など、 興味をもって取り組めるような生活に役立つものを学習課題に取り入れた。
○ 事業の内容
 「尋常小学校」の受講対象者は、星ヶ丘校区在住の 65歳以上の方とし、自分で通学ができる方とした。募集定員40名であったが、25名の応募に留まった。  「ひなたぼっこ」は、センターだよりで講座生募集をし、尋常小学校の卒業生には、個別に募集の案内をした。終了時には、 十分な仲間づくりができていた卒業生に対し、クラブや講座への参加が一度もない年長者への学習機会のきっかけづくりにしたかったが、 新規参加は、1名に留まり、全員で26名となった。
  両プログラムでの共通する思いは、学ぶ喜びと集う愉しみを大切に、できるだけ参加者の負担は最小限にしたい、ということであった。 よって地域のボランティアの働きと車やバスを無償で貸し出すなどの協力なくしては、成り立たない計画であった。
星ヶ丘尋常小学校学習プログラム
@9/1 入学式〜始業式に参加、校内見学
A9/12 国語〜地域の方言について、給食体験
B9/26 社会〜地域めぐり「地域の歴史探訪」
C10/17 音楽〜星ヶ丘小学校歌をうたおうなつかしい唱歌
D10/31 音楽〜小学校の学習発表会に参加
E11/7 国語〜漢字、かな使いの今・昔
F11/21 理科〜「秋の植物、虫や鳥の観察」遠足
G12/3 体育〜フォークダンス(3年生と交流)
H12/16 図工〜陶芸 湯呑を作る
I12/24 卒業式/終業式に参加、茶話会
寺子屋ひなたぼっこ学習プログラム
@5/22 初夏の山田緑地へバスハイク
A6/9 講演「間違うと怖い家庭の医学」
B7/3 講演「悪徳商法にだまされるな」
C8/31 講演「音楽と手話を楽しもう」
D9/28 講演「響感健康体操」
E11/7 観劇「大衆演劇まつり」嘉穂劇場
F11/27 撮影会「おしゃれをして記念撮影」
G12/22 和紙作り「牛乳パックで紙漉き」
H1/20 小学校総合学習に参加「1年生と昔あそびでふれあい」
I2/15 「パソコンにさわってみよう」
○ 事業の成果
 「尋常小学校」を開催した小学校は、整備された通学路、年長者でも徒歩での通学ができる場所にあり、 校舎はバリアフリー、図工室には陶芸窯もある。小学校をはじめ地域の協力のもと、恵まれた学習環境の中で、 胸をはって学校の門をくぐった4ヶ月であった。参加者の積極的な参加・取り組みはもちろん、この講座を成功させるため、 地域のボランティアの協力なくしては成り立たないもので、地域のつながりを高めたことも成果の一つであると考える。
 尋常小学校卒業生に対しては、小学校より、『昔遊び』『昔の暮らし』の講師として参加の依頼があり、出向くことも多い。 参加した年長者からは、子ども達の笑顔と元気さに自分達も元気をもらえるという声を聞くことができた。
 「尋常小学校」から「ひなたぼっこ」を通して、何を学ぶかも大事であるが、 誰とその学びの時間を共有するかも大切な要素であることに気づいた。前年度につづき活動をともにしてきた気心の知れた仲間と、 まさに和気藹々と活動ができた「ひなたぼっこ」。『市民センターとして、このつながりを大切にして、 地域や児童との関わりを続けて行く手伝いをしていきたい。』こんな思いを味わうことができたのは、参加者を固定化することなく、 より多くの方の学習機会を広げる努力をし、誰でも気軽に参加できる企画・広報を工夫してきた結果であると考える。
○ 17年度へのつながり
 平成17年度は、文部科学省の事業である「地域子ども教室」への協力、 放課後や夏休み中の子どもの見守りや指導のボランティアとして活動している。星ヶ丘市民センターの 「地域子ども教室」では、登録児童数125名、延実施回数180回、全9コースの活動を主に放課後に開講している。 その中のひとつである「チャレンジ」コースは、1年生から6年生までの32名が参加している。 全16回中以下の9回の講座が、年長者から学ぶ、年長者と学ぶ講座である。
 時間が夕方でもあり参加する年長者は少なかったが、人手の必要な回に声をかけると10人以上の参加があった。 いつも、センターが要請するときにはできるだけ参加しようとする気持ちが感じられる。 子どもたちも年長者の先生と学んだり、遊んだりする時は、いつもよりもまじめに取り組めていて、よりよい結果が得られるように思う。
 
地域子ども教室 チャレンジコース
年長者参加プログラム
@7/29 炭坑節を踊ろう
A8/5 雑巾を手縫いで
B9/2 ちぎり字
C10/7 ちぎり字の額を作る
D11/4 昔のおもちゃで遊ぶ
E11/18 カルタ作り
F12/2 カルタで遊ぼう
G2/3 豆まきとゲーム
H3/3 みんなでひなまつり
○ 今後の課題 
 尋常小学校で同窓生となった仲間も3年の月日の中で、病の床に伏した人や、永遠の眠りについた人などで、集まりも少なくなっている。 新興住宅地であるため、他方面から集まった、知らぬもの同士の集まりであるため、誘い合うことが出来なかったことも原因のひとつといえるかもしれない。
  センターが中心となり、人と人とをつなぐ仲間作りができるような事業の展開が望ましいと考えている。 18年度も尋常小学校を卒業した年長者やまた新しい仲間が地域子ども教室のボランティアとして、 子ども達と共に楽しんでもらえるような企画を考え、参加を募り、地域の活性化や仲間作りを図りたいと考えている。
 今後も「生涯学習は、やったもん勝ち!」この精神を伝え、また広めることで、年長者の生きがいを高め、 また年長者の力を子どもたちや地域に還元していくことができるのではないだろうか。そんな取り組みを継続していきたい。

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