1 北九州市における「市民センター」の整備について |
(1) 北九州方式のまちづくり |
|
・市全体を「市レベル」「区レベル」「地域(小学校区)レベル」の三層に再構築 |
(2) 活動拠点:市民センターの整備 |
・小学校区単位を基本に「市民福祉センター」(公民館があった小学校区では「公民館・市民福祉センター」)を整備
・平成17年「市民福祉センター・公民館」の名称を「市民センター」に変更統一
・教育委員会・保健福祉局から 総務市民局へ市の所管変更 |
(3) 活動主体:まちづくり協議会設置 |
・活動主体として地域団体で構成する「まちづくり協議会」の設置促進
・平成18年4月現在、市内132小学校区のうち、129のまちづくり協議会設置 |
2 陣原地区の概要 |
・北九州市八幡西区黒崎地区から西方約2.5qに位置
・世帯数2,438世帯、人口総数5,269人
・平成12年にはJR鹿児島本線陣原駅が完成、駅南口周辺に市民センター、保育所、医院、薬局、店舗等が整い大きく変容
・南西部の瀬板の森公園整備
・高齢化率21.0%、地区によっては26%を超、5歳未満の人口増加 |
3 陣原市民センターの概要 |
・平成14年4月開館 ・平成17年度 利用状況 1,757件 19,895人 |
4 男女共同参画推進への取り組み |
(1) 北九州市の取り組み |
・平成14年3月「北九州市男女共同参画社会の形成の推進に関する条例」制定
・平成16年4月「北九州市男女共同参画基本計画」策定 |
・基本計画の重点施策 |
@ 政策・方針決定過程への男女共同参画の推進
A 性別による人権侵害行為の根絶と被害者への支援
B 拠点施設の機能の充実 |
|
平成17年9月、北九州市民4,000人を対象とした意識調査では、性別による固定的役割分担を肯定する人が過半数を占め、5年前の前回調査からほとんど変わっていない。市民の意識を変えることの難しさが明らかになった。
当市民センターにおいても、住民に密着した拠点施設として地域の草の根的取り組みから意識改革を進める必要性を感じ、センター事業の中に組み入れ推進してきた。 |
(2) 陣原市民センターにおける男女共同参画推進の取り組み |
@ 男女共同参画地域フォーラムin陣原 「気づくことが はじめの一歩」 |
(平成16年6月開催、160名が参加 うち男性29名) |
地域の男女共同参画推進員を実行委員長として地区諸団体代表で実行委員会を立ち上げた。「基本計画の推進体制図」のように、市民センターはその地域の推進拠点となる施設として明確に位置づけられており、陣原市民センターも共催して陣原地区で初めて開催した。
「かっては一方的な犠牲の上に社会が成り立っていた。しかし、男も女も基本的な人生観を一本もち、お互いを思いやり気遣う心の交流の上に生活の実践があり、各自が持っている個性に応じて仕事を選べるという社会のしくみになりつつある。世界の情勢を見据えて、共に考え、協力し、実践する姿勢が自分達の住む地域を住みよくすることであり、何より自身の生きがい作りにつながる。団体役員の女性2人が発表したが、皆さんも今後その立場になったとき勇気を持って実践する決断をしてほしい」と講師。このテーマでの研修会に初めて参加する住民も多く戸惑いもあったようだが、問題提起の研修となった。 |
A 男女共同参画講座 「妻の言い分、夫の言い分」 共催:陣原婦人部 |
(平成18年2月開催、女性 26名参加) |
ワークショップ形式で女らしさ男らしさ、男性優位の考え方などの問題点について意見交換。この方法は、学習の方法としてよい手法だった。参加者全員が発言し、お互いの意見を聞き、自らを顧み、足元を見つめることで、自ら気付きができた。当初「家族の代表は主人」「跡取りは男子」といった発言が、「家族とコミュニケーションを取る」「地域との交流を深める」「経済的に自立」「定年後の夫婦のあり方を見直す」に変化していった。 |
B 陣原地区年長者クラブ 亀山会連合会との連携「亀山会はつらつ講座」 |
会員数556名、平成19年度は創立50周年となる歴史の長い年長者クラブである。高齢社会へ向けてこの大きな組織と連携することにより、健康・仲間・生きがいづくりの情報や活動を提供できればと考えていた。開館4年目(平成17年)にしてやっとご理解をいただき実現した。
年間12回のうち5回の枠を担当。
男女を問わず年長者の皆さんが、年間行事企画立案・運営の話し合い、月例会昼食時の調理・配膳・片付けに声を掛け合いながら活動する様子は心温まるものがある。この連携を通して、年長者クラブは「充実した活動ができた。会員増加へと繋げ、社会貢献ができるクラブに発展させたい」と意欲をみせた。 |
C その他センター講座への取り組み |
|
単に家事労働の代替を目的としているのではない。家事や子育ての楽しさや喜びは女性だけの特権ではなく男性もそれを体験してほしいのである。また、男性が生活面において自立し家族的責任を果たしていくように提案した。 |
|
・男性向け料理教室…センタークラブに発展
・パン作り講座 ・実践的介護教室 |
5 今後の課題 |
「男女共同参画社会の実現」への理解は、それぞれの地域において少しは進みつつあるが、その歩みはゆるやかであり、従来の性別による固定的な役割分担意識の解消は道半ばである。
しかし、陣原地区年長者クラブ亀山会連合会の和気藹々とした活動は、地域の若い世代への良い手本となっているし、これから地域へもどってくるといわれる団塊の世代も戦後男女共学で学んだ皆さん達である。市民センターと地域とのさまざまな連携事業の機会を捉えて、男女共同参画の視点から意識改革に向けた内容を組み入れると、これまで無関心だった層にも理解が進むのではないだろうか。
市民センターは地域社会に最も密着した施設である。男女共同参画社会の実現に向けて多くの人々が対話をし、相互理解を深め、共感を重ね、知恵を出し合う拠点としてその役割は重要である。 今後とも、このようなことを常に念頭におき、市民センターの運営に努めていきたいと思う。 |
|