2. 事業目的 |
郷土の恵まれた自然、山国川をフィールドにして、水生生物の観察や 水質検査を行うことによって、子どもたちに、生活に深く係る“水環境”について考えさせ、水環境の大切さを理解させることを目的とする |
4. 連携・協力機関・団体 |
吉富町立吉富小学校、国土交通省・山国川河川事務所、自然案内舎 クラバード |
6. 事業内容 |
吉富小学校4年生の「総合的な学習の時間」で「環境学習」として取組んだ。「身近な環境について調べよう」をテーマに、大分県中津市と福岡県吉富町の県境に流れる身近な一級河川・山国川をフィールドにして、上流の源流近くから下流の間で、3ヶ所の水生生物の観察や水質検査等を行った。 |
フィールドでは、児童たちに深く理解してもらうために、専門的な知識を持った自然案内舎(有)クラバードに「水辺の体験学習事業」の指導を委託したほか、国土交通省・山国川河川事務所の職員・スタッフにも 協力を依頼して、水生生物の採集・観察用具、 水質検査キット等の提供・指導を受けた。 |
▲上流での水生生物観察 |
@水生生物の観察 |
水生生物たちは、それぞれの種にとって好ましい環境に生息している。そこで、流れの中にどんな水生生物がいるか調べるこ とによって、水質をはじめとした河川環境を知る手がかりとなる。 |
水生生物の観察は、 瞬間的な水質データとは違い、時間経過を含めた河川環境を知ることができることが大きな特徴である。 |
つまり、簡 単に言えば「きれいな水にしか 生息しない水生生物が生息している。=水がきれい」となる。
観察場所として、上流側は、 中津市山国町の英彦山に近く、 山国川の源流に近い毛谷村付 近と、同じく山国町の甌穴で有 名な猿飛千壷峡付近で、下流側 では、吉富町の河川敷付近で、それぞれ児童たちが水生生物の観察を行なった。(上流側へは、 貸切バスで移動。下流側へは日を改めて、徒歩で観察場所まで移動した。) |
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▲コオニヤンマ・ハグロトンボのヤゴ |
それぞれ、観察できた主な水生生物は次の通り。 |
〇上流側 |
▲ある児童が採集した水生生物
(ヘビトンボ・サワガニなど) |
(カゲロウ、カワゲラ、ト
ビケラ
ヘビトンボ、コ
オニヤンマ、ハグロトンボ
サワガニ など)
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〇下流側 |
(スジエビ、テナガエビ、
ミズムシ、
ユスリカ、ヨコエビ、カワニナ、ヒル、
イトミミズ など
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A水質検査 |
下流側の水生生物の観察時に実施。毛谷村付近から採取した上流の水、河川敷付近の下流の水、家庭から出る生活雑排水の3種類の水(洗剤等を混ぜた水道水)を、ペットボトルに準備して、それぞれ水質検査キットで検査し、水の汚れの違いを調べた。
水質検査キットは、COD(化学的酸素要求量)を検査する簡易検査キットを使用。比色チャートと見比べながら、児童たちは3種類の水の汚れの違いを理解することができた。
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▲水質検査を行なう児童たち |
Bその他 |
その他、年度によっては、山国川河口域の干潟観察、吉富町下水道浄化センターの見学なども組み合わせて事業を実施している。 |
7. 事業の成果 |
児童たちに身近な山国川が、豊かな川であることを改めて確認することができたとともに、水生生物の観察や水質検査を行うことにより、生活雑排水が川の水を汚していることが理解できた。水環境の大切さを認識し、「環境のために、自分たち一人一人に何ができるか」ということについても、充分に考えることができた。 |
8. その他の環境学習 |
吉富小学校5年生は、「総合的な学習の時間」での取組みとして、4年生で学んだ「水環境」からさらに発展して、水路やため池などについて学んだ後、「米について調べよう」をテーマに、田植えから稲刈り、餅つき・米を使った料理実習までを通して、米について調べる学習を行っている。この学習は、町の老人クラブの会員の皆さんが指導に当たり、世代間交流としての役割も果たしている |
吉富中学校1年生では、やはり「総合的な学習の時間」の中で環境学習に取組んでおり、「環境について考える」をテーマに、身の回りの環境、地球規模の環境問題の中から、各自でテーマを決めて調べ、まとめたものを発表するなどしている。また、北九州市のエコタウン等の見学も行っている。
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その他、教育委員かでは、平尾台観察をメインとしたバス・ハイキングなども、大きな意味で環境学習の一環として実施している。 |
9. 今後の課題 |
▲下流の様子(吉富町の河川敷付近) |
@ 幅広い環境学習への取組み
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これまでは、吉富町周辺の
立地条件から“水辺の環境”に関する学習内容が多かったが、3R’(ごみの発生抑制〔Reduce〕再使用〔Reuse〕再生利用〔Recycle〕)を通じた循環型社会の国際的な形成への理解を深める事業など、もっと幅広い内容への取組みが必要。 |
A 指導者の育成 |
子ども会関係者・ジュニアリーダーなど、今後のエコ活動での指導者・リーダーとなる人材の育成。 |
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