1 錦町市民センターの概況 |
錦町市民センターは平成12年に設立。校区は観光客で賑わう門司港レトロ地域や、門司港駅、商店街などの一部を含み、風師山の麓の住居地域との住商混在の町である。 校区の規模は人口3,414人、世帯数1,732世帯、高齢化率31.1%で門司区でも5番目に高齢化率が高い地域でもある。 施設は、地域包括支援センター、2階は区役所別館等がある複合施設となっている。 |
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2 ボランティアとの出会い |
私は平成14年に赴任し、地域の人々が市民センターの場所を知らない、またどんな活動をしているかも知らない等、地域と市民センターとの関わりが少ないことに気付き、錦町市民センターが「誰もが気軽に利用できる市民センター」になることを目指し、(1)地域を巻き込む行事、
(2)市民センター講座の内容と形態の工夫、(3)広報活動の充実に力を注いだ。
初めからボランティアを作ろうとしたのではなく、自分が困った時に、知恵や助言をして下さったのが市民センターを利用している地域の人でした。そのお陰で徐々に5年間で地域の善意と協力により、五つの種類の錦町ボランティア体制を築くことができた。 |
1「にしきまち大家族」宿泊ボランティア |
職員会議で「夏休みに子ども対象に何かしょう」との提案で、市民センター主催の事業として、平成14年から毎年夏休みに、集団生活の中で協調性を養うことを目的として、1日宿泊生活体験を実施した。名前を「にしきまち大家族」として、地域内にある門司海青小学校3年生以上の希望者が市民センターに宿泊する。子どもたちに、今できないことを体験させたいと思い、夜は蚊帳を吊って寝ることにした。いざ吊るとなると壁は全面コンクリート。試行錯誤している時市民センター利用者から助言を頂いた。竹の器作り、うどん作りも知恵をお借りした。このことからこの事業を続けていくには職員だけではなく、地域で生活しているボランティアの力が必要だと気づいた。 |
● 14年度・15年度・16年度も同様に実施する。蚊帳は珍しいので、子どもたちはとても喜んだ。16年度には、当センターに行政ボランティアが誕生する。 |
● 17年度
この経験をもとに市の委託事業の「生活体験通学合宿」を受けて、さらに長期の6泊7日の生活体験通学合宿にチャレンジした。子どもたちは市民センターで寝泊りしながら学校へ通う。今回はもらい湯の募集すると7軒もの協力を得、地域の方が子どもたちへの関心が、とても高いことを実感した。ボランティアを以下のように分けた。食事づくりでは朝食、夕食・引率では登校、下校、風呂・余暇では宿題、遊び・宿泊(男、女2人ずつ)・洗濯。 |
● 18年度も例年通り「にしきまち大家族」を実施した。子どもと共に大人もボランティアをしながら楽しんでいることがわかる。また、毎年実施するのでボランティアが定着した。 |
2 生き生き子ども講座ボランティア |
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北九州市では、学校5日制に伴い週末における子どもたちの学校外活動の場として、小学生を対象に、毎月第2土曜日に「生き生き子ども講座」を実施している。当センターでも開館以来ボランティアの協力で実施している。 |
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● 13年度・・・6回実施
● 14年度・・・44回実施 |
地域の方の特技に対する情報収集。地域の方からの情報提供。市民センターに子どもが出入りする機会が増え、子どもの声が多く聞こえるようになって活気がでた。 |
● 15年・16年度・・それぞれ42回実施。 |
子どもたちの自立(自分達が先生になる。また1年間の活動記録作成) |
● 17年度・・・41回実施。 子どもたちにボランティアの芽がでてきた。 |
● 18年度・・・36回実施予定。中学生ボランティアができた。 |
内容が充実するにつけボランティアが増した。 |
3 園芸ボランティア |
15年度に区役所から「校区まちづくり事業」の指定を受け実施した。
この事業は、市民の皆さんが主体となるまちづくりを、市民と行政とが協働して進めることが目的です。『井戸端会議で「まちの献立づくり」』とネーミングをつけ、1年間会議や調査等をした。その事業が終了後、7人が活動を継続し、校区を花で飾ることになり、花の勉強をしたい、もう少し人数も増やしたいとのことで「園芸にチャレンジ・コンテナガーデン」の講座を、16年の4月から月1回で5回講座を開催した。2回目が終った時、センター前の九州鉄道記念館から花壇作りの依頼があり、引き受けるようになった。これが園芸ボランティアの始まりである |
いろいろな困難にあう度にボランティアから、アイデアをもらい人数も増える。朝6時、夕方4時と1時間ずつ2回の水遣りはボランティアなしでは管理できなかった。九州鉄道記念館の花植えでボランティアの皆さんに少し自信が付き、次は市民花壇へと夢は広がり実現した。 |
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成果 校区内に門司港レトロ地区があり、花を植えることで観光客にも喜ばれ、町の美化にも貢献する。園芸ボランティアをすることで運動になり、生きがいになった。花に興味を持ち、家族の方からも喜ばれた。今年度からは自主性もでる。ボランティアの人数が増えた。 |
4 文化祭ボランティア |
日常の学習活動の成果を発表することで、住民の学習意欲を高め地域との連帯感を深めることが目的で毎年文化祭を開催している。15年度までは、市民センターのクラブ生を中心に、16年度からは市民センター運営に関わる「まちづくり協議会」役員、婦人会、行政ボランティア等も参加するようになった。 |
成果 市民センターが活気づき、地域がお祭りのようになり、地域の輪が広がった。 |
5 体操ボランティア |
子どもたちの夏休み対策のひとつとして15年7月よりPTAとまちづくり協議会が、地域の子どもたちと一緒に朝6時半から門司港駅前でラジオ体操を始めた。その後も地域の方は継続。16年からは、体操の記録を残してもらうようになる。18年は早朝の門司港駅前と別に、火、金曜日の9時半より市民センター内でラジオ体操、ストレッチ体操を始めた。その指導者もボランティアで引き受けてくれるなど健康づくりにも地域のボランティアが協力してくれるようになった。 |
成果 ボランティアの人数は3人と少ないが、門司港駅前では日曜、祭日を除いて毎日実施。さらに実施場所を増やし、市民センター内、生き生き子ども講座、生きがい型デイサービスの前にも実施するようになった。12月までの参加者も4,265人となり健康づくりにも一役かった。(校区の要支援要介護比が減る) |
「誰もが気軽に利用できる市民センター」を目指した結果、地域の人々が様々なボランティアに参加し、利用者同士のふれあいも深まり市民センター利用者が増加した。 また、市民センター主催講座も幅広く活動を深めることができた。ボランティアが続いているのは、その事業を1回限りのものではなく継続したからではないだろうかと思う。 広報活動も市民センター便りを回覧から全戸配布へ、町内の掲示板の利用、みなと祭りには5年連続で総踊りに出場するなど、PRも充分出来た |
現在協力してくださるボランティアの方々が今後も継続して活動できるか、また、次の世代へのボランティアの育成、まちづくり協議会、地域、市民センターとの連携、館長自ら地域の行事や会議等どれだけ参加し、人間関係を構築していくか等が課題だと考える。 |
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