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事業名 |
日・蘭中学生交流事業 |
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事業の目的 |
時代を担う中学生が、水巻町の国際交流の推進の一環として、ホームステイを通じて外国人家庭で生活を共にしたり、オランダ学生を家に受け入れたりして、オランダの文化や語学、生活習慣を学び融和と理解を深め、国際感覚を有する人材の育成を図る目的で行う。毎年夏休みの時期に、中学生の派遣、受入を交互に隔年で行っている。 |
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事業の実施主体 |
水巻町 (主管:教育委員会生涯学習課) |
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連携・協力機関・団体等 |
水巻町・水巻町国際交流協会・水巻町内各小中学校 |
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事業予算 |
派遣約400万円 受入約200万円 |
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実施に至る経緯 |
水巻町古賀地区の図書館・歴史資料館の上方に十字架の塔という慰霊碑があります。碑には日本国内で亡くなったオランダ兵871名分(町内で亡くなったオランダ兵53名+日本国内で亡くなったオランダ兵818名)の銅板が設置されていて、表向きは、強制労働で命を落とした連合国軍の捕虜を慰霊するために建てられたと云われていますが、実際は、連合国軍の戦犯調査団が来日する直前、炭鉱側が戦犯逃れのために、あわてて建てたといわれています。
1985年元オランダ兵捕虜のドルフ・ウィンクラー氏が戦後再来日し、塔の整備を訴えました。当時の水巻町はこのことに取り合わず、水巻町内のボランティアの方々によってこの塔が整備されてきました。それ以来オランダから様々な方々がこの地を訪れ献花式が行われるようになりました。このことが日蘭の平和交流の礎となり、1995年に水巻町がオランダノルドオーストポルダー市を訪問し、中学生交流を打診しました。翌年1996年にお互いを行き来することによって交流が始まり、現在に至ります。現在でも外務省の招聘事業などで様々なオランダの方々がこの地を訪れ塔への献花を行っています。 |
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プログラム作成の視点 |
この交流事業は云わば負の歴史から始まった平和交流なので、交流を行うに当たっても、過去の歴史をしっかりと学び、平和の尊さを学びそのことを次世代に伝えられるようにしています。そのため、現地十字架の塔の献花をはじめ、図書館・歴史資料館のオランダコーナーなどで平和学習を行うようなプログラムにしています。受け入れでは、水巻町内の小中学校にオランダの中学生を招き、交流を深めています。また、ホストファミリーとの交流がより深く行えるように全体で動いていくプログラムに加えてホストファミリーと自由に時間を過ごすフリーデーを設定して、充実した交流が行えるようにしています。 |
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事業の内容 |
水巻町とオランダのノールドオーストポルダー市の中学生とのホームステイ交流事業。平成8年に始まり、平成19年には12回目を迎える。偶数年度が水巻町からの派遣、奇数年度がノルドオーストポルダー市の中学生の受入れということで毎回中学生10名が交互に交流を行う。 |
<派遣>選考試験を実施し派遣研修生10名を選考。英会話や現地での心構え、現地で披露するダンスなどを事前研修で学習し、派遣。現地では企業訪問やアンネフランクの家があるアムステルダム見学、家族とのフリーデー等を通して交流を深める。現地では、「日本友の会」が受け入れを行っている。派遣時は応募学生多数のため、英語筆記試験・英会話・面接・作文などの選考試験を通して10名を選抜。一人当たり80,000円の研修参加費を実費負担。派遣は夏休み期間中。(例年8月上旬) |
<受入>水巻町広報や中学校を通して、ホストファミリーを募集。文化の違いや簡単な英会話などを学ぶ事前研修を経て、受け入れ。十字架の塔を通した平和学習を始め学校訪問や家族とのフリーデーなど様々なスケジュールを通して交流を深める。個人としてではなく、家族としての受け入れなので、家族がこの交流を通して一つになる良い機会となっている。(受け入れは7月中旬〜月末にかけて行う) |
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事業の成果 |
研修生やホストファミリーにおいては、交流が終わった後も、メールや手紙などでお互いに情報交換などをして交流を続けており、再会を果たしたりしている。また、水巻町全体においても、水巻町=オランダとの交流ということで、国際意識が高まっている。また小中学校においては、十字架の塔を通した歴史を学習することで平和学習が行われている。地域の方々においても、十字架の塔の清掃や周辺の整備を行ってくださるなど、サポートが行われている。
水巻町のオランダ交流は、十字架の塔への献花はもちろん、地元の小中学校との交流も行っています。現在の子どもは当たり前ですが、戦争の悲惨さを体験していません。そのため、この交流が過去の歴史に正面から対峙する絶好の機会となり、平和の尊さについて学習するすばらしいきっかけとなっています。
日蘭中学生交流そのものは、ヨーロッパの国との交流ということで、子どもたちは最初は興味本位で応募してきたりという動機が大半だと思います。しかし、結果的に英会話はもちろん、異文化相互理解や、十字架の塔の歴史を通した平和学習など大事なものを学ぶことができます。交流を行ってきた研修生は、行政の手を離れた現在でも、ホストブラザー・ホストシスターとメールなどで連絡を取り合ったり、再会をしたりして交流の輪を広げています。
このことは公民館事業などの地域教育力にも通じるものがあるのではないかと思います。何か子ども達が興味があることで誘い出して、地域行事にでてもらわないことには始まりません。好きこそ物の上手なれといいますが、遊びながら学ぶというイメージといえばいいんですが、メリハリはもちろん必要ですが、「学ぶということはこんなに楽しいことなんだ」という原点に帰って子どもたちの知的好奇心を高めつつ、世代間交流をおこなったり、体験学習を行ったりするというのが理想的なのかなというのが率直な感想です。その為には自分達大人も楽しんでやることが前提だなと感じます。日蘭中学生交流事業はそんな子どもたちの知的好奇心を高め、平和学習や国際交流を行えるプログラムであると思います。 |
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今後の課題 |
交流がもっと充実したものにできるように事前研修を充実させたり、水巻町の国際交流ということで積極的に広報等を通じて情報を発信し、国際意識を高めてもらう。 |